書籍『最悪期まであと2年、次なる大恐慌』を読みました。
著者のハリー・デント・ジュニア氏は、経済の最大の原動力は「人口トレンド」にあるという説を提唱して、今回のアメリカのバブルのはじける規模は読み誤りましたが、バブルがはじける時期の予測を的中させました。
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<魔法のレシピ>
より豊かな春を迎えるように
世界経済のトレンドを学び、冬に備えよう
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◆ハリー・デント・ジュニア氏は
1990年に先進国のなかで一足早く崩壊した日本のバブルは
・2003年までの14年間でNIKKEIは80%下落し
・不動産は2005年までに60%下落したことを例にあげ
これから、アメリカや他の豊かな国も同じような傾向が生じると見ています。
デント氏は、日本のバブル崩壊からの教訓は以下の2つだといいます。
①バブルは必ずはじける
②その国のひとつの世代が生産性のピークを迎えるとき
トレンドが極端に変化する

◆「人口トレンド」を基にしたデント氏の、これからの予測は
①2009年~2010年の景気刺激策は失敗に終わる
②米国長期債2%に近い債権バブルは崩壊する
③金や石油というハードアセットのバブルに変わる
④そして2010年~2012年にコモディティーのサイクルも下降を始める(金、石油、銀、銅)
⑤株、不動産、商品市場、債権バブルが崩壊して、多くの人が借金の返済を始める
⑥2011年~2013年にアメリカの失業率は12%~15%、もしくは、もっと高くなる
⑦TOP10%までの富裕層は、税金が劇的に高くなる
⑧テロや自殺のピークは2014年~2015年になる

◆2011年~2013年の明るい面の予測では
①アジアを中心に新興国市場で、力強い成長トレンドが生まれ、投資チャンスが生まれる
②デフレにより、生活費が安くなる
③サウジアラビアやインドネシア、インドが伸びる
ちなみにハリー・デント・ジュニア氏は、書籍『最悪期まであと2年、次なる大恐慌』の第6章で、個人のための生活防衛のヒントとして投資の方向性も示唆されています。

◆監訳者の神田昌典氏は「あとがき」で
日本国の税収は、2009年の予測46兆円を大幅に下回り、37兆円という実績にふれて、多くの会社経営は売上20%減どころか半分になったところもザラにある。
日本は人口構成の面からは明るくない。
日本の人口トレンドは、少子高齢化で長期衰退の方向性にある現状からだ。
今後、劇的に出生率があがったり、移民の受け入れがないかぎり長期的には衰退してしまう。
社会全体で本氣で少子高齢化対策や、移民の受け入れを検討し進め、女性の雇用を制度として社会で支え、子供を生みやすい環境を整えることが大切だと指摘しています。

◆バブルの発生と崩壊自体は自然だとしても、そのために社会的弱者の生命が危険にさらされたり、人類共通の資源が損なわれたりしているとしたら放置することはできない。
その状況を改善するために、社会的費用を負担できるのは、富裕層しか残っておらず、そのような階層の人にはノーブレスオブリージュが期待される。

◆また精神面では
「キリスト教の隣人愛」や「仏教の慈悲の精神」ような自他を区別せずに尊重する精神が、今まで以上に大切になる。
神田昌典氏は、最後に
「厳しい冬の時代の到来、しかし春は必ずまたやってくる。その時に皆さんとともに喜びを分かち合えることを願っている!!」
という心が軽くなる励ましのメッセージを書かれています。
有難うございます。
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<魔法のレシピ>
■人口トレンドが経済に与える影響を学ぼう
■現状を理解し対策を施そう
■春は必ず訪れる、冬を乗り切ろう
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