DVD『ハウルの動く城』を観ました。
物語を、人間の人生に照らし合わせて、宮崎駿監督や製作関係者の皆様からのメッセージを感じながら「感謝」して観てみると・・・
「自らの運命は、全て本人の気持ちしだいであり、どういう言葉をしゃべり行動するかで、切り開かれる。」
という励ましのメッセージがハッキリと伝わってきます。
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<魔法のレシピ>
人は気持ちしだいで、いくらでも変わる
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◆魔法と科学が同時に存在する時代。
町の小さな帽子屋で働くソフィーは、仕事以外に自信が持てない内気な18歳。
彼女の住む王国では戦争が起きています。
ある時ソフィーは町はずれの荒野に住む荒地の魔女の意地悪により呪いをかけられ、90歳の老婆の姿に変えられてしまいます。
◆家を出て荒地を放浪する彼女の前に現れた巨大な動く城。
生きるために城の主で魔法使いのハウルに掃除婦として雇われるソフィー。
甘ったれで自信家のハウルに呆れながらも、彼の弟子マルクルや、荒地からついてきた案山子のカブ、この城を動かしている火の悪魔カルシファーと家族のような時間を過ごすソフィー。
◆ソフィーは風変わりなハウルとの生活に驚きながらも心を開いていきます。
現実とは異なる世界を舞台に、魔法の力を与えられながら宿命の鎖に縛られた少年と、彼の優しさに気づいたことで大切な人を守るために困難を乗り越えようとする少女。
そんななか、戦火は確実に彼らへ忍び寄っていました。
◆DVD『ハウルの動く城』で
「人間の言葉や思い」が「そのまま、その人自身の人生となり、
さらに現実を引き寄せる魔法となる」ことを見事に描写しています。
例えば、せっかく若返ったソフィーが
「私、きれいでもないし、そうじくらいしかできないから・・」と
言った途端に老けてしまいます。
◆原作では、ソフィーは、自分では気づいていませんが魔力を持っています。
彼女が言った言葉が、そのまま実現していくのです。
その彼女が鏡を見ていった言葉が「これじゃオールドミスみたい。」
その後、荒地の魔女が現れ、彼女を老婆にするのです。
彼女が老婆になるのも、ある意味では、荒地の魔女の呪いというより「彼女の自己暗示」のようなものです。
そのような自己暗示が解けたとき、つまり眠っている時や、自分の素直な気持ちが表現できるときには、心も容姿も若くなるのです。
「つまりソフィーの気持ち次第で少女になったり老婆になったりするのです。」
◆さらに、ソフィーは明確な言葉(呪文)を使って、カブやカルシファー、ハウルを復活させます。
・ソフィー(カブに対して)
「逆さになっているよりましでしょう。元気でね。」
・ソフィー(カルシファーに対して)
「心臓をハウルに返したら、あなたは死んじゃうの?」
・カルシファー
「ソフィーなら平気だよ、たぶん。おいらに水をかけても、おいらもハウルも、死ななかったから。」
・ソフィー
「やってみるね。どうか、カルシファーが千年も生き、ハウルが、心をとりもどしますように。」
物事を変えるのは、環境や周囲がどうか?ではなく
自分自身が「どういう意志を持ち、どういう言葉を話すかが大事だ」
ということすね。
■登場人物■
■ソフィー・ハッター ■
◆主人公である18歳の少女。
3人姉妹の長女で、義母の経営する父親ゆずりの帽子屋「ハッター帽子屋」でお針子として働いていました。
家を出て働く妹とは違い引っ込み思案であり、自分の地味な容姿にコンプレックスを持っていました
荒地の魔女の呪いにより90歳の老婆にされます。
唯一、歯だけは丈夫なままです。
◆ハウルの城で掃除婦として居座ることとなり、呪いを解くヒントをそこで探そうとしまが、それよりも汚い部屋の掃除に熱心になります。
老婆にされたことによって自意識から解放され、積極的な性格になります。
動く城で、ハウルと暮らすうちに彼に対して次第に恋愛感情を抱いていきます。
本人には自覚はありませんが、寝ている時や感情が高ぶった瞬間などに呪いが解けて若い姿に戻ることがあります。
◆物語の後半で彼女は大きく変わる事になります。
物語前半では黒に近い茶髪だったのが、老婆にされてからは銀髪。
王宮でサリマンに啖呵をきった際に若い姿に戻った時は元の黒に近い茶髪でしたが、以降、外見年齢に関わらずエンディングまで銀髪のままです。
若い姿の時は三つ編みが長く、老婆の時は三つ編みが短くなります。
また、同じ老婆の姿でも90歳の姿ではなく、60代前後と思われる姿の時もあります。
◆宮崎駿監督はいいます。
「人間なんて気持ち次第で同じ人が90歳のおばあちゃんになったり、ある時は50代のおばちゃんになったりする。そういうことで言うと、ソフィーも気分によっては少女になるってあるんじゃない?」
宮崎駿監督が「ハウルの動く城」について、詳細な説明がないのは、現実の社会と同じで、理屈で理解して欲しいのではなく、
「気持ちしだいで人はいくらでも変わるのだ」ということを
感じて欲しかったのかもしれませんね。
■ハウル■
街では「美女の心臓を食べてしまう」と噂される美形の魔法使い。
サリマン曰く、素晴らしい才能を持つ魔法使いで魔王になる能力もあるとすら言われていますが、その実態は見栄っ張りでずぼらで弱虫な若者。
精神的に未熟な反面、限りない優しさも持ち合わせています。
◆当初は金髪に染めていますが、ソフィーの手違いで魔法が解け黒髪になります。
火の悪魔カルシファーと契約して魔力を強めています。
戦場へ飛び立つ時は黒い巨大な鳥に似た魔物へ変じます。
ジェンキンス、ペンドラゴンなどさまざまな偽名を使い分けながら暮らしていますが、ソフィーが動く城にやってきた事で、変革を余儀なくされます。
■荒地の魔女■
50年前に悪魔と契約した事からサリマンによって王室を追放された魔女。
粘液状の黒い人形を使い魔とする。
体を押し込むのがやっとの小さい輿に乗って移動する。
若さ、美しさと、ハウルの心臓に執着し、追放された事からサリマンを恨んでいる。
◆後にサリマンに全ての魔力を奪われて実年齢の老婆の姿に戻され、痴呆症状の始まったような状態になってしまい、
成り行きから動く城に住む事になる。
それ以降ソフィー達には「おばあちゃん」と呼ばれている。
荒地の魔女と言われ恐れられてはいたが、自分で掛けた呪いを解くことが出来ない。
■カルシファー ■
火の悪魔。
ハウル自身と“動く城”に魔力を供給しており、ハウルとの契約が他人に見抜かれるまではその束縛がとかれることは無い。
水に弱く、食べ物(燃やすもの)が無くなると消えてしまう。
食べるものによって発揮できる魔力の量や質が異なり、相性の良い人物のものを食べることで一気に大きな魔力を生み出すことができる。
普段の食事は無機物(卵の殻)でも有機物でも(目玉焼きやベーコン)食べるが、サリマンの使い魔を食べさせられた時は参っていた。
◆心臓や片目を捧げれば正式な“契約”を結ぶことができる。
ソフィーに「時間がないので早く契約の秘密を解いてほしい」とハウルらに内緒で頼んでいた。
子供っぽくお人好しな性格のためか、調子に乗りやすい。
原作では青い炎という風に描かれている点を除き、映画と原作でほとんど違いはない。
契約上ハウルの言うことしか聞かないはずだが、ソフィーには水をかけると脅されたりして押し切られてしまっている。
■マルクル■
ハウルの弟子で、外見は8~10歳程度の少年。
外出時や、呪いを売ったり人の相手をする時は、魔法のフードをかぶって老人に変装する。
当初は背伸びをして大人ぶった振る舞いをしていたが、ソフィーに懐くうちに、本来の年齢相応の子供っぽさを見せるようになる。
■声の出演 ■
・ソフィー 倍賞千恵子
・ハウル 木村拓哉
・荒地の魔女 美輪明宏
・カルシファー 我修院達也
・マルクル 神木隆之介
■原作■
ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
『魔法使いハウルと火の悪魔』
製作:「ハウルの動く城」製作委員会
脚本・監督:宮崎駿
作画監督:山下明彦、稲村武志、高坂希太郎
美術監督:武重洋二、吉田昇
■公開2日目で観客動員数110万人、興行収入14億8000万円と
日本映画歴代最高のオープニングとなり、2005年5月1日までに観客1500万人を動員。
興行収入196億円、2004年と2005年の興行成績第1位を記録し、
『千と千尋の神隠し』についでジブリ史上第2位の記録を樹立した。
日本国内におけるDVDとVHSを合わせたビデオグラム出荷本数は、2007年5月時点で270万本。
■その年の第61回ヴェネチア国際映画祭においてオゼッラ賞、
翌年にはニューヨーク映画批評家協会最優秀アニメーション賞を受賞。
さらにアニメーションのアカデミー賞と言われる、第33回アニー賞の長編映画部門作品賞にノミネート(33rd Annual Annie Award Nominees and Winners)されたことに続き、
『千と千尋の神隠し』以来となる第78回アカデミー賞にもノミネートされる等海外においても高く評価された。
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<魔法のレシピ>
■運命は自分次第で切り開くことができる
■人が蘇り明るくなる言葉(呪文)を使おう
■その人の意志や言葉や思いが、その人自身の人生となる
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