子供のころ、将棋で遊んでいるとよく父が教えてくれたことがあります。
「一箇所をみるのではなく、常に全体をみることだよ。」
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<魔法のレシピ>
木を見て森を見る
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1987年から2006年まで、アメリカでFRB議長を務めた
アラン・グリーンスパン氏の『波乱の時代』を読みました。
心に響いた内容を抜粋させていただきますね。
■経済成長を促す制度の根幹となるのは、国による個人の「財産権の保護」である。
財産権を確立するのは、資産を保護し、その資産を活用して利益を追求できるようにするためだ。
個人には財産権があり、その権利は法によって守られているという見方が社会に深く根づいていなければ、自由市場経済がうまく機能しない。
■アダム・スミスは「国富論」で、国が豊かになるには、
「自分の利益を、自分の方法で追求する完全な自由」を持つようにするべきだと論じた。
その際、競争がカギになる、競争があれば、各人はもっと生産性を高めるように促されるからだ。
スミスは、豊かになるには熱心に働くだけではなく、もっと賢明な方法で働くことが必要だとし、労働生産性を高めることの重要性を強調した。
■競争は、楽しいものではない。だが、それは経済の進歩、豊かさをもたらす上で不可欠なものだ。
現在、グローバル化は創造的な破壊の「破壊的な側面」しか見ない人たちからは激しい非難を受けている。
だが、信頼できる証拠はどれも、グローバル化の恩恵は、経済学の領域を超える部分でもコストをはるかに上回っていることを示している。
■ただし残念ながら、そうして獲得した経済成長は、永続する幸福感を生み出せない。
所得を増やせば、幸福度も上がるが、それは基礎的なニーズが満たされる時点までで、それを超えると幸福度は、相対的なものとなり、経済成長とは無関係になる。
生存に必要な水準を超えれば、幸福度は人それぞれの人生観などで決まってくる。
幸福が、物質的な高さだけで決まるのであれば、資本主義の形態はすべて、最も活力があり生産的な米国型モデルに収斂するだろう。
■だが、この米国型モデルは最も多くのストレスを生み出す。
とりわけストレスが多いのが労働市場だ。
・米国では毎週40万人前後がレイオフされ、60万人が転職、または退職している。
・平均在職期間は、米国6,6年、ドイツ10,6年で、日本の12,2年年に比べてかなり短い。
■各社会にとって、この選択は、「物質的な豊かさ」と「ストレスのなさ」の間でのバランスをどうとるかの選択であり、その社会の歴史と文化に左右される。
例えば、競争的資本主義の方が有利だと認める多くの人たちですら、次の二つの理由により、葛藤している。
①競争やリスクテークはストレスを生み出し、ほとんどの人はストレスを避けたいと願う。
②富の蓄積に対して多くの人は、心の奥に複雑な感情を持っている。
自由市場体制が最善のものであると考える割合は、
・米国は71%だが
・フランスでは36%に過ぎない。
したがって我々は世界の繁栄の土台となる経済主体に制限を課すよりも、創造的破壊の負の側面がもたらす不安の緩和に努めるべきである。
そして成長のペースが落ちたときには、金融システムの柔軟性を維持する必要がある。
■保護主義はどんな仮面をかぶったものであれ、経済の停滞と政治的な全体主義を招くからだ。
共産圏の崩壊により、大量の労働力が資本主義市場に流入し、世界的なディスインフレ圧力を生み出した。
中国、ロシア、インド、3カ国で世界人口の5分の2を占めることもあって、
今後、この3カ国の政治や経済の変化が、世界経済の将来を最も大きく規定することになる。
世界の30億の労働人口のうち、主要計画経済の壁で
隔たてられてた約半分が、グローバル化によって資本主義市場に流入した。
それが強力なディスインフレ圧力を生んだ。労働力の流入の加速により、事実上、全世界で賃金の伸び率が抑制され、インフレ率が低下した。
だが、この経済移住はいずれ完了し、ディスインフレ圧力も消える。
■人は恐怖に陥るとポジションを解消しようとして、株価は急落する。
そして熱狂に侵されているとき、株価を非合理な水準にまで押し上げる。
市場が合理的から非合理的に変わるときの予測。それは難しい。
なぜなら、不安と焦燥の間で、振り子のように揺れる性向は、人間が生来持つものであり、永遠に変わらないように思えるからだ。
だから「懸念される問題は何か」と聞かれたら、決まってこう答えた。
「市場参加者が予想できるような金融危機はめったに起こらない」
■富裕層に対する増税は単純な解決策に見えるが、経済成長に悪影響を与えるだろう。
直ちに労働力のスキルを引き上げるには、重要なスキルを持つ移民を大量に受け入れることである。
今後、米国で資本主義的慣行がどれだけ国民に受け入れられるかは、教育や移民政策をはじめとする
改革の成否にかかっている。
人間が逆境に耐え、進歩できるのは偶然ではない
「適応力」こそが人間の本性であり、この事実がある限り、将来は楽観視できる。
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<魔法のレシピ>
■熱心に働くだけではなく、より賢明な方法で働こう
■「物質的な豊かさ」と「ストレスのなさ」を両立させよう
そして、創造的破壊の負の側面がもたらす不安の緩和に努めよう
■人間が逆境に耐え、進歩できるのは偶然ではない
「適応力」がある限り、将来は楽観視できる。
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