支え合う

奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録/石川 拓治

NHKのプロフェッショナルでも放映されました、木村秋則さん『奇跡のりんご』幻冬舎を読みました。

木村さんが無農薬でつくる、りんごは「奇跡のりんご」と呼ばれ、白金にある有名レストランのシェフや、政治家が買い占めるほど評判になっているそうです。

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<魔法のレシピ>
りんごの木は、りんごの木だけで生きてるわけではない
周りの自然の中で生きている生き物なわけだ。
『忘れてるけど、人間もそうだよ』
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◆木村さんは、青森県のりんご農家ですが、若いころは「効率人間」で、百姓は嫌いだったそうです。

なぜなら、土まみれになって、汗水たらして働いてもちょっとした自然の氣まぐれで、1年間の収入が大きく減ってしまう。
計算ずくで考えると百姓は効率が悪いという結論しかでない。

◆その木村さんが、無農薬、無肥料でりんご栽培をはじめます。
すると、りんご畑は虫に食われて、何年も何年もりんごがならなくなりました。

りんご農家の収穫がなくなるということは、収入がなくなるということ。

木村さんは「バカなことをしたもんだよ。だけどその時はすでに、りんごの木の害虫と病気を抑えることしか考えていなかった。」といいます。

◆その後、木村さんの家族は貧乏のどん底、さらに廻りの人からは竈消し(カマド消し)と非難されつづけ、ある日、木村さんは自殺を決意します。

その時に立ち入った山の中で、たわわに実をつけた「ある木」と出会います。

では、なぜ木村さんは効率人間から、無農薬のりんごをつくり始めたのでしょうか?

りんご農家は、通常、1年間に10回ちかくの農薬を撒くそうです。
木村さんの奥さんは、そのたびに身体の具合が悪くなっていたそうです。

◆また、木村さんがトウモロコシ畑をやっていたときにタヌキに畑を荒らされたことがあるそうです。

そこで、トラバサミという罠を仕掛けると、子供のタヌキが罠にかかります。

木村さんが子供のタヌキに近づくと、傍に母のタヌキがいて子供を見ている。
さらに近づいても、母タヌキは逃げようとしない。

◆木村さんはその状況を見ていて
「ずいぶんヒドイことをしたなあ」と感じてトラバサミを外してあげた。

そして「もう食べにくるなよ」と歯がかけて売り物にならないトウモロコシをその脇に置いた。

翌朝、行ったら一つ残らず、歯がかけたトウモロコシはなくなっていた。
それで、トラバサミをやめてトウモロコシを収穫するたびに歯がかけたトウモロコシを畑に置いてきた。

◆「タヌキにエサなんかをあげたら、集まってきて、さらに悪さをするんでは?」と思ったけど、そうはならなかった。

それを見ていて『自然は人間が計画したとおりに動かないものだと思った。』

逆に「人間がすべてを持っていくから、タヌキの被害がでるのではないか?」
そんなことを考えた。
この頃が、効率的な農業からの転換だったのかもしれない・・・
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<魔法のレシピ>
■「何をやるか?」よりも「何故やるか?」を大切にしよう
■ 自然は人間が計画したとおりに動かない
■ からはじめよう
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