自然

無農薬で「奇跡のりんご」をつくる、木村秋則さんは、自殺志願者から相談を受けるときがあるそうです。
「バカになればいいんだよ。死ぬくらいならバカになるって、やってみるとそんなに簡単じゃあないんだよね。だけど死ぬことを考えた先輩として、ひとつだけわかったことがあるの」

『ひとつのことに狂えば、いつか必ず答えに巡り合う。』
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<魔法のレシピ>
自然に学ぼう
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奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録/石川 拓治

■木村秋則さんは、無農薬でりんご栽培に挑戦していたときに自殺を考えたことがありました。
無農薬のりんご栽培で、収入が激減して、妻、娘や家族に苦労をさせていた。
木村さんが「もう諦めたほうがいいかな」と家族にめずらしく弱音を吐いたときがあった。

すると、普段はおとなしい長女から思いがけない反応があった。
「そんなの嫌だ。なんのために私たちこんなに苦労しているの。」
父の夢は、いつしか娘の夢になっていた。

■だが、その後も、畑のりんごの木はどんどん弱っていった。
木村さんは、1本1本のりんごの木に話しかけていた。
「無理をさせてゴメンナサイ。花をさ咲かせなくてもいいから、枯れないでください。」

だが、やることはやりつくした感じで、虫をとるのが精一杯だった。
木村さんは「やることは全てやった。生きていても、家族に迷惑をかけるだけだ」と感じた。

■そこでロープを持って山に登った。
普段人が入らない、山の奥で、木にロープをかけようとした。ところが木村さんは、失敗して倒れてしまった。

そこで、実をつけたりんごの木に出会った。
農薬など使われていなにのに、実をつけている。
山の中の木に農薬など必要ないのだ。

よく見ると、その木は「りんごの木」ではなく「どんぐりの木」であった。

■虫が食べている葉があるのに、何故? 虫は食べつくさないのだろう?

決定的な違いがひとつあった。
草が生え放題で、足元が沈むくらいにフカフカだった。土がまったく別物だった。

掘ってみると土がやららかい、ツンと鼻を刺激する山の匂いがした。
落ち葉と枯れた草が何年も積み重なり、虫や微生物が分解して土ができる。

さらに、草や木の表面には無数のカビがある。
いい菌も、悪い菌もある。
この草のなかで、どんぐりはスクスク育っていた。

『これは人間がつくったものではない。この場所にすむ、生きとし、生けるもの全ての合作なのだ。』

■自然の中で孤立して生きているものはないのだと思った。
ここでは、全てのが他の命と関わり合い支えあっていきていた。
そんなことはわかっていたが・・・。

自分のりんごの木を守ろうとするあまり、その一番大切なことを忘れていた。
自分のなすべきことは、その自然を取り戻してやることなのだ。
畑にこの土を再現すれば、りんごの木は必ず根を伸ばす。
そして、どんぐりと同じように元氣になるだろう。

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<魔法のレシピ>
■自然の中で孤立して生きているものはない
■全ての命が他の命と関わり合い支えあって生きている
■バカになり、ひとつのことに狂えばいつか必ず答えに巡り合う
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