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DVD『 千と千尋の神隠し』宮崎駿アニメを見ました。
『 千と千尋の神隠し』は見る人の解釈の『違い』がおもしろいですね。
・「バブル崩壊後の社会を背負わなきゃならない少女たちへのメッセージ」であるという解釈だったり
・千尋が精神世界(不思議な街)で体験した、自分の守護神に出会う物語だという解釈だったり
・『 千と千尋の神隠し』にでてくるお湯屋「油屋」は、ソープランドのことで、現在の風俗産業をもとにした映画だという解釈だったり。

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<魔法のレシピ>
世界はその人のイメージの中にある
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◆小学4年生10歳の少女、荻野千尋はごく普通の女の子。
夏のある日、両親と千尋は引越し先の町に向かう途中で森の中に迷い込み、そこで奇妙なトンネルの入り口を見つけます。

入り口を見て嫌な予感がした千尋は両親に「帰ろう」と縋りますが、両親は好奇心からトンネルの中へと足を進めてしまいます。

◆仕方なく後を追いかける千尋。
出口を出た先に広がっていたのは、広大な草原の丘でした。
地平線の向こうには冷たい青空が広がり、地面には日本の古い家が埋まっていて瓦屋根が並んでいます。

◆先へ進むと、誰もいないひっそりとした町があり、そこには食欲をそそる匂いが漂っていました。
匂いをたどり両親は店を見つけ、そこに並ぶ料理を食べ始めてしまいます。
すると両親はそれらの料理が神々の食物であったために呪いを掛けられ豚になってしまい、一人残された千尋はこの世界で出会った謎の少年ハクの助けで、両親を助けだそうと決心します。

◆千尋は八百万の神々が集う湯屋・「油屋(あぶらや)」の経営者、湯婆婆に雇用を願い出ます。
湯婆婆は千尋の名前を奪い、「千」という新しい名を与えます。
千尋は油屋の下働きとして働きながら、様々な出来事に遭遇しつつも、ハクや同僚のリン、釜爺らの助けを借りて、懸命に立ち向かうことで自分でも今まで気づかなかった内なる「生きる力」を発見してゆきます。

◆子供は、実社会の中で「生きる力」を高めて、成長していくのですね。
『千と千尋の神隠し』では、働かないで生活しようとすると、動物に変えられたり・・・
何もその社会に提供しないでお金を得ようとすると、「お金」が泥にかわってしまったり、怪物に食べられてしまったり・・・
「あなたの大切なものが変わっていても氣づかないんだよね。」
といわれた湯婆婆は、金に目がいき、坊がいなくなっていたことに氣づかなかったり・・・

千は、ブタの中には、自分のお父さんとお母さんがいないことに氣づいたり・・・

◆『千と千尋の神隠し』を観ていると・・・
人間が「より幸せに人生を生きる力」について深く考えさせられますね。
ちなみに千尋の『尋』は「水深などをはかる単位」であり、『千尋』には「非常に長く、また測りにくいほど深いこと」という意味があるそうです。
「かわいい子には旅をさせましょう!!」
■物語の詳細はこちらから
http://www.coda21.net/eiga3mai/text_review/SPIRITED_AWAY.htm
※『 千と千尋の神隠し』を繰り返し、より深く見たい方はこちらを一度読んでみると理解が深まります。

■登場人物■

■荻野千尋(おぎの ちひろ) / 千(せん)■
主人公。荻野家の一人娘。小学4年生で10歳の平凡な少女。
神の食物に手を付け、豚にされてしまった両親を人間に戻し、元の世界に帰るために湯婆婆と契約を交わし、名前を奪われ「千」となって湯屋で働くことになる。
以前は家の手伝いなどしたことも無いため家事の手際は悪く、我侭ですぐにむくれる、そのくせ一人になると不安になって何をしていいかも迷う性格だったが、不思議な町での体験を通して、自分でも気づかなかった適応力や忍耐力を見いだす。
(それらは「成長」して獲得したものではなく、もともと千尋のような典型的な現代の子供に内在するものである。)

■ハク■
湯屋で働いている謎の少年。
湯屋の帳場を預かっており、湯婆婆の弟子でもある。
作中初めて千尋と会った時から何かと彼女の力になってくれた恩人で、千尋を小さい頃から知っていたという。
千尋と人間の世界での何らかの繋がりがあったことを仄めかしていたが、実は千尋が以前住んでいた家の側を流れていた「コハク川」という小川を司る神だったことが明かに??龍のデザインイメージはもののけ?白い龍に変身することが出来る。
本名『ニギハヤミコハクヌシ』(英語版では Kohaku River とされている)。
客としてもてなされるべき神の立場でありながら湯婆婆の下で働き魔法を学んでいたのは、埋め立て工事で失われた自らの河川を取り戻すためだった。

■湯婆婆(ゆばーば)■
湯屋「油屋」の経営者で正体不明の老魔女。
大柄だが顔も大きく二頭身で、強力な魔力と強欲で湯屋を切り盛りしている。
何でもずけずけと口やかましく、脅かしたり怒鳴り散らしたりと部下をアゴでこき使うが、客に対しては腰が低く、また巨大赤ん坊の「坊」を溺愛している。
人間の世界から迷い込んできた千尋を湯屋に勤めさせ、名前を奪って「千」と呼ぶ。彼女に似た顔をした湯バードというカラスを従えていて、彼女もまた湯バードのように飛ぶことができる。
性格的には傲慢なものの、河の神を率先して助けた千尋を認め、しり込みしていた従業員たちに「千を見習い」と言うなど、経営者としての
度量も持ち合わせている。
しかしハクに魔法を伝授する代わり、彼に様々な汚い仕事をやらせるなど黒い一面も持ち合わせる。
終盤では「掟」をダシにして千尋が湯屋を辞めるのをかたくなに拒んでいたが、坊の説得により条件付でそれを許し、12頭の豚の中から両親を探すという試験を出すが、千尋が見事言い当てたため、しぶしぶ湯屋を出る許可を出す。

■釜爺(かまじい)■
湯屋「油屋」の釜場でボイラーを担当している老人。
クモのような姿で、6本の手を自在に操り、「油屋」で使われる湯を沸かし、薬湯の薬を調合する仕事をしている。
ちなみに顔は「ラピュタ」でタイガーモス号の整備を担当するじっちゃんとそっくりである。千尋を気遣い、リンに湯婆婆の所へ連れてくように言う。
最初に千尋と会った時は「ただの人間」が迷い込んできたことに流石に驚いたようだったが、すぐに協力してくれるようになった。
部下に石炭を運ぶススワタリがいる。

■銭婆(ぜにーば)■
湯婆婆の双子の姉。
姿形はそっくりだが、以前から湯婆婆とは確執がある。
強力な魔力を持つほか、言葉使いなどは湯婆婆と同じだが性格が違い、箒など無生物に魔力を吹き込んで使役しながら穏やかな暮らしをしている。
今は“沼の底”という寂しい片田舎で一人暮らしをしている。
坊と湯バードをネズミ、ハエドリに変える等もしている。基本的に魔法を多用するより、手作業を好んでいるようである。
最初は『紙のトリ』より少々透けて湯婆婆の大広間に登場する。
ちなみに、姉妹の名前の最初の字を並べると「銭湯」になる。

■カオナシ(仮面男)■
黒い影のような物体にお面をつけたような存在。
か細い声を搾り出すだけで言葉は話せず表情も無い。人間の世界でもなく、湯屋がある世界でもない、また別の世界からやってきたらしい謎の存在。
「己」を持たず、手からどんなものでも出す力を持つが、それはただの土くれが化けているものに過ぎない。また、他人を呑み込んでその声を借りてでしかコミュニケーションが取れない。
主に手から金などの人の欲しがるものを出し、それを欲した瞬間にその人を飲み込んでしまうのが手口。
橋の欄干で千尋を見かけた時から執拗に彼女を求めるようになり、オクサレ神の一件の翌日に湯屋に現れ、次々と湯屋の従業員を飲み込んでいき肥大化していく。
その後千尋と対面するが彼女に拒絶され、苦団子を食べさせられた怒りで暴走し、千尋を追いかけている途中に飲み込んだ人々を全て吐き出し元の姿に戻った。
元に戻った後は千尋について銭婆の所に行き、そのまま銭婆の所に留まることになる。
実はハクが現れる場面と前後して登場している。
彼の正体は人間の心に潜む孤独や寂しさの神らしい。暴走中は湯婆婆の魔法すら弾くほどのパワーを持つ。

■リン■
湯屋で働いている娘。年齢は14歳。
口調は荒っぽいが性格はサッパリとしており、千尋を初めて見た時は驚いて当惑していたが、湯屋の先輩として千尋に色々と仕事を教えて面倒を見るという優しさも見せる。

■坊■
湯婆婆の子。赤い腹掛けをした巨大な赤ちゃん。父親は不明。
金太郎のような姿で、性格はわがまま。ぐずると泣き声だけで部屋中を破壊するほどで、癇癪を起こすと訳も分からず暴れてしまう。
歯は生えており、言葉を話すことは可能である。湯婆婆の偏執的な愛情の元で育つが、彼女の所為で外に出ることを異常なまでに恐れていた。
千尋と出会い、初めて外界の空気を吸ったことにより、性格的に一回り成長する。

■頭(かしら)■
湯婆婆に仕える、緑色の頭だけの怪物。
中年のおじさんのような容貌で、跳ねながら移動する。『オイ』としか話すことができず、作中では銭婆の魔法によって前記の坊に扮する場面が描かれている。いつも3つ一緒に行動している。

■荻野明夫 (おぎの あきお)■
千尋の父親。38歳。
建築会社に勤めるサラリーマンで、それなりの役職であることが持ち物や愛車(アウディ・初代A4)からしのばれる。
目元のあたりが娘の千尋によく似ている。性格は非常に豪快で楽天的、くわえてワンマンで人の意見を聞かず、反面子供っぽい意地っ張りなところも。
引っ越しの時も道をよく確認しないままどんどん進んでしまい、いつの間にか不思議の町に迷い込んでも面白がって進み続ける。
そして、町のレストランに迷い込んだ時、勝手に食事に手をつけてしまい豚の姿に変えられてしまう。

■荻野悠子 (おぎの ゆうこ)■
千尋の母親。35歳。
スタイルも整った美人だが少し派手め。
性格は快活明朗で社交的なようだが、やや子供っぽい夫を微妙に尻に敷いている所もある。不思議の町に迷い込んだ時、夫につられて勝手に食事に手をつけてしまい、夫と一緒に豚の姿に変えられてしまう。

■父役、兄役、番台蛙■
それぞれ油屋で働く者達と湯婆婆との間の中間管理職的役割を担っている。
いずれも蛙の化身。それぞれ典型的な上に諂い下に威張るキャラクターとして描かれている。
下の者を見下す傾向があり、特に人間を毛嫌いしている。
ゆえに千尋などに対しては部下だから仕方なく接しているところもある。
兄役は、カオナシが客として振舞っていたときに幇間のようなこともしていた。

■青蛙■
湯屋で下働きの仕事をしているカエル。
金に目がないが、憎めない性格。
※蛙(男衆)と蛞蝓(女衆)と蛇は三すくみの関係にある。

■神々■
油屋へ来る神々は、日本固有の八百万の神という考え方に則り、様々な形体をしている。作中でも大根(おしら様)や春日大社の面(春日様)魚介類、牛鬼、川、タマゴのまま生まれてこられなかったひよこ(オオトリ様)、なまはげ(おなま様)等々の神をイメージし、擬人化のような形でデザインされている。

■オクサレ様 / 河の神■
作中の中盤に登場する神様。
ヘドロを固めたような姿で、臭いが強烈である。
そのせいか、汚れたお客専門という『大湯』に案内される。またその臭いの酷さは青蛙たちが必死に拒んでいる様子や、リンが運んできたメシを一瞬で腐らせる様子からも読み取る事が出来る。
しかし、千が自転車のハンドルに気付き、湯婆婆やリンの力を借りて、河の神の姿に戻す。このとき出てきた大量のごみは、河の神を主とする川に捨てられたごみだと思われる。
このとき千は、いつの間にか苦団子を握っていた。

■ススワタリ(まっくろくろすけ)■
イガ栗のような形をした黒い実体。
こちらには足が生えている。魔法の力で煤から生まれたらしく、常に働いていないと死んでしまうが、潰れて煤に戻ってもいつのまにか煤から生まれてくるらしい。
釜爺の指示で石炭を抱えて運び、ボイラー室の炉に放り込むのが仕事。
好物は砂糖菓子(金平糖)。
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<魔法のレシピ>
■かわいい子には旅をさせよう
■子供は親が見ていないところで成長する
■実社会の中で「生きる力」を学び高めよう
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